Artworks

DATA PAINTING

21世紀、わたしたちの前にはデータという特異なマテリアルが現れます。 マウスが筆に代わって正確な線を描き、インターネットには様々なアイデアや素材が溢れています。 しかし大量のコピーが容易であり、編集や加工も自由自在に行えるため、データの価値が軽視されることもあります。 最近では、NFTのようにモニタースクリーン内の画像を暗号化し、希少性を保証することも試みられています。

『 DATA PAINTING (データペインティング) 』 では、デジタルデータという不可視の存在を絵画表現によって可視化することを目的とした概念です。

作品は 『 Through the screen( スルーザスクリーン ) 』 という独自開発のプログラムを用いることで、デジタル仮想空間の景色を、モニタースクリーン内で留めず、モニタースクリーン外のキャンバス上に落とし込み、絵画として描きます。

それは、デジタル空間の情報を取り込んでいるため、リアルとは異なるソリッドな静謐性がありながら、ぼんやりと浮かぶ別世界を予感させます。

また、プログラムを用いることで、従来の絵画とは異なる表現手法や美的価値観を追求することも可能になります。

他にも、シルクロードの”古い絹織物”と、モニタースクリーンの”低い解像度”の共通点を見出し、絹織物をキャンバス上にデジタルで再現したシリーズや、実際のモニターに映っている解像度を描いた< Cell by cell (セルバイセル) >シリーズ。

仏教哲学と映像表現を融合した作品< Moment (モーメント) >シリーズは常に流れる時間とともに移り変わる世界を描き出しています。

それは、仏師が木の中に宿る仏の姿を彫り起こすように実体を持たないデータから新たな形を生み出し、作品の痕跡として残します。